河底0メートル

いわれてみれば、たしかにきこえる

住み替える家20

この時コラージュで書いた暮らしは、今となってはだいぶ違っているとは思います。しかしそれでも生活の輪郭のようなものをハッキリさせた事で、メリハリがなくなりがちな日々の暮らしを、少しだけでも理想に近づけようと考えるきっかけになりました。

「住まいを替える」という事は、「暮らしを替える」という事でもあります。賃借期限とか転勤とか漫然と引越しするのではなく、自分たちで決めて住み替えるという選択は、考えてみれば初めての事でした。その意思の部分を端的に表したのがコラージュだと考えると、あの時期はこんな暮らしを考えていたのかというメルクマールとなっています。

 

理想的な暮らしについてのコラージュを完成させてメールで送りました。現地調査の結果もお風呂一階、ベランダ拡張は可能との事なので、ここでほぼ決めていましたが、他の会社の結果も確認してから返事する事に。

住み替える家19

リフォームの相談に世田谷まで。初めて降りる駅からほど近くに事務所がありました。

最初の面談から社長がお出ましになり、まずリフォームのイメージを膨らませる為に、理想の生活を描いて欲しいとの事。好きなもののコラージュでもいいし、どういうものに囲まれて、またどういう風に暮らしたい。例として社長はキャンプが好きなのでアウトドア風味、車も好きでアルファロメオ(でも社長は持ってない)という感じで写真が色々貼り付けてあるサンプルを出されました。

そして、他の会社では難しい顔をされた「風呂を一階に」という要望も「行けると思います」と即答。さらに今ある幅50センチくらいしかないベランダを内側に拡張して広げるのはどうか、という提案。

ベランダ拡張なんて思いもしませんでした。今ベランダにある高さ1メートルに伸びた柚子の木をどうしようかも悩む必要もなくなります。

 

この時点で6割くらいこの会社にお願いしようと思ってしまいました。今まで訪れたリフォーム会社だと「設計会社」と「施工会社」が別々になっていて、できるかどうかは結局施工会社次第のところがあり、そうなると設計はあまり無理をせず余裕を持つような感じです。

面積が広ければ抽象的な設計でも後の施工で何とでも出来ますが、なにせ狭小住宅なので詰め込むだけ詰め込むしかなく、そうすると「風呂が一階」というのがかなりネックになる。しかし設計と施工が同じ会社だと、入る入らないはすぐに判断できる為、設計もかなり具体的に出来る、という感想でした

 

ここで決めてもいいくらいでしたが、コラージュという宿題をもらって帰りました。妻も私もこの手の課題は大好きなので、それぞれ作成する事になりました。理想的な暮らしとは何か、を考えるのは初めてで、普段意外と考えていないという気づきもありました。

住み替える家18

次に頼んだのは、「オシャレなリフォームといえば」という会社。リフォームセミナー後に個別相談会があるとの事で、渋谷までやってきました。

1件目の会社よりも働いている人も雰囲気が若く、活気がある感じ。担当の人は五十代くらいのクリエイター然とした方。建築確認済証や容積率の確認など、リフォームより建築基準法などにまつわる話が多く、逆に言うと客が一番気になるリフォーム内容には自信があるわけで、とにかく意識が高い感じがうかがえます。とにかく現地確認しないと進まないという事で、その日は終了。

 

1件目と2件目のリフォーム会社の現地確認の日、こちらとしては「風呂は一階でもいい」とか「階段の場所を変えたい」など、何となくの希望を伝えつつ、図面と建物のチェックをしてもらいました。

1件目の自然派リフォーム会社、鉄骨に吹き付けて

ある白いものが気になるらしく「アスベストかどうか調べたい」との事。費用もこちら持ちで五万くらいだと。これまでそんな話は全く無く、買った時にも「アスベスト検査無し」と説明されており、やる必要があるかどうか考えましたが、やっておくに越した事はないと決めお願いしました。ちなみにこの会社以外にはアスベストについて質問されなかったので、やる必要なかったかもとは思います。次は必要になるとしたら解体の時だろうし。

2件目のオシャレリフォーム会社、イケイケのイメージそのまま、担当者が酒くさいままやってきました。設計担当は若い人で、あとで検索するとやはりオシャレなリフォームの施工例がありました。2件目だった事もあり、あまり詳しくは覚えてないですが、やはり容積率や建築確認の話が多かった気がします。

 

こちらの要望は「1階に風呂と店」「2階、または3階にリビング」と言う事でした。とにかく狭いので1階は店が狭くなったとしても風呂を下に下ろして居住スペースを少しでも確保したいと。しかし「1階の店」に惑わされるのか、またはユニットバスが入らないと判断されたのか、どちらの会社も風呂は3階に持ってきそうな感じでした。

 

他にも住居に強い地元のリフォーム会社にも相談しましたが、店舗は自信がないらしくやんわりとお断りされ、次にネットで検索して狭小住宅に強いというリフォーム会社に相談して見ることに。

 

最終的にはこの会社にお願いする事になります。

 

住み替える家17

売却も決まり、買付も終わり、あとは淡々と進めるだけ。

と思いきや、中古物件なのでまだやる事があります。リフォーム。

買った物件は築20年の事務所ビル。風呂は無くシャワーのみで、2階のトイレだけが異常に立派。1階と3階に小さいシンクが付いているだけのオフィス仕様。以前商売をやりながら住んでいた人もいたようですが、独身ならまだしも家族でシャワールームは厳しい。

 

また、リフォーム会社をハシゴです。最初に行ったのは部材に使う天然素材を売りにした会社。後でネットを見ると施工が雑など結構悪評が並んでいたのですが、設計ではそれほど悪い感じはしませんでした。

とはいえ、設計と施工が別会社なので実際リフォームする段階で設計のしわ寄せが来るのでは、という仮説が後で立ちました。新築とは違い、リフォームでは壁を剥がしてみないとわからない事が多く、全て当初設計通りに行く事はほぼ無いと考えてよいです。そうすると諦めて設計を変えるか、追加でお金をかけても設計に合わせるか、という判断が都度出てきます。

予算通り、また最初の設計通りに出来ると思っていた人に、現場で「設計変わります」「追加費用かかります」と言ったら揉めるに決まってます。

 

設計までは無料との事なので、とりあえずお願いする事にしました。これで1件目。

住み替える家16

買付の書類を書く為にターミナル駅近くの事務所にいたのですが、応接室の窓から見える大交差点を眺めながら、この街に住む事になるとは思わなかったな、と感慨に浸ってました。

 

その翌日、マンション売却でお世話になっているSさんから電話。会社から二駅で駅近の物件が出たのですが見てみませんか?との事。買付の書類を出した時にSさんにも見てもらった事もあり契約状況はご存知なので、それでも連絡があったという事は条件に合っているものだと思われます。

 

その街には会社の寮があって10年ほど住んでいたので雰囲気などは十分知っているところでした。見に行くと、住んでた寮の二つ手前の道を曲がったところ。寮よりも駅に近かったのですが、飲食店や接骨院がボチボチあるだけの通りなので、ほとんど通った事がなく、あまり印象になかった所。

とはいえ、「駅近、会社近、値段手頃」と条件にピッタリ、欲を言えばもうちょっと広い方が良いのですが、そこは妥協点。築20年なので境界線の問題で断念したビルよりも新しく、リフォームしても買付を入れた新築より安く済みそう、と選ばない理由がない。

あるとすると広さに加えて、以前住んでて個人的に新鮮味がない、再開発の醍醐味が直ぐにはない、とあるのですが、それは個人の感想レベルなので飲み込んで、内覧が終わった時にはもう今の買付をキャンセルして買うのを決めてました。

 

もしSさんからの連絡がもう少し後だったら契約が進んでキャンセルしていたでしょう。不動産は本当に巡り合わせだな、と感じる瞬間でした。

先に買付をいれた不動産担当者に連絡すると、競合者がいるからか引き止める事もなく「わかりました」とあっさり。もうちょっと何とかならないのか、とは思いましたが、後腐れなくキャンセルできたので良しとします。

住み替える家15

図面が出来たとの事で早速うかがうと、時間がないので所長自ら書いたとの事。見た感じ特に不可もなく、強いて言えば平凡すぎるくらいの見た目。そもそも中古住宅を買おうとしてるくらいなので、新築にもそんなにこだわりがなく、建ててくれればあとは何とかするよ、のスタンス。提案する方はやりづらいだろうなという感じですが、興味があるふりをしても仕方がないので、自然体。

とにかくだいたいの値段まで出してもらい、想定内くらいの値段だったので検討しますという形になりました。あとは土地を押さえれば決まりです。

すぐに不動産屋の担当者に連絡して買い付けを入れる事にしました。事務所まで行き、書類を書いていると、同じ土地を狙っている競合の方の存在を担当者がやたらと言ってくるので、値段は言い値で買うし最初に手を挙げたのはウチなのでそのあたりを考慮して欲しい、買うと言ったら買う、と大見得を切りました。まあ、すぐ後でキャンセルの連絡をする事になるのですが…

住み替える家14

リフォームして再度建て直すよりも、道路拡張を待って新築した方がコストが安いだろうという事で、住宅展示場で家を見てみる事に。

平日に行ったのですがガラガラで、新しい廃墟のよう。モデルルームは開いているのに、呼んでも誰も来ないとか、総合受付に訊いてもどこがやっているのか判らないとか、とにかくやる気がない。

そんな中、一つの工務店が対応してくれました。家の作りは動物との共生を考えてあり、犬猫に加えイグアナや亀がいるモデルルームで、社員はもっぱら飼育係との冗談も。

しかし、提案内容は要所要所でポイントを突くもので、むしろ不動産会社の担当者よりも詳しい。つい先日購入予定の木密地域の近くの建築も手掛けたとの事で、区の条例も引用しながら家の撤去が区の費用でできる事、道路拡張による建築制限の緩和など、次から次へとアドバイスが出てきて、完全に心を掴まれました。あとで「私何歳に見えますか」と聞かれたので30から40代かなというと、まさかの20代でした。出来上がりすぎ。

翌々日には間取り図を作ってくれるとの事で、とりあえずお願いする事にしました。ネットではあんまり評判が良くない工務店ですが、やっぱり営業によるなという事がよくわかりました。