トイレはなぜ男女一緒ではないのか
例えば喫茶店でトイレに入ろうとすると、男女兼用だったりする時があります。特に兼用でも困らないのですが、そうかと思うとデパートのトイレは入り口から男女でキッチリと分かれている事がほとんどです。銭湯のように必ず分かれている訳ではなく、条件によって分かれたり分かれなかったりするトイレとは一体なんなのでしょうか?
いくつかのシチュエーションを考えてみます。
- 喫茶店のトイレ
駅前のコーヒーチェーン店に入ると、トイレが男女兼用になっている場合があります。パターンとしては、次の3つでしょうか。
- トイレが一つしか無く、男女兼用
- トイレが二つ有り、男女別
- トイレが二つ有り、片方が女性専用
- 男性は小便器のみ、大便器は男女兼用
トイレのスペースが広く取れないけども、3、4のように工夫されている所も多いでしょう。
- パーキングエリアのトイレ
ゴールデンウィークや年末年始などに車で出かけると、道の渋滞と共にパーキングエリアでの女性のトイレ渋滞が発生する場合があります。よくある話で、女性用トイレに行列が出来ている為、おばちゃんが男性用トイレに入って来て用を足す、という話は見聞きした事があるでしょう。
パーキングエリアのトイレは総じて広く、男女別になっています。女性のトイレ渋滞を見越して、男性側のトイレスペースより女性側を広く取っている所もあります。
- イベントでのトイレ
野外フェスなどが行われると、簡易トイレが並ぶ光景を見る事ができます。全て同じ形なのですが男女兼用である事はほとんど無く、ロープなどで男女のスペースを分けています。
喫茶店のようにスペースがない場合兼用となり、広く取れる場合は入り口から分けることが多いといえるかもしれません。イベントのトイレのように兼用でも構わないはずですが、男女のエリアを分けるという事で実質入り口を分けているのと同じであるといえるでしょう。
- トイレスペースとトイレの数
男性は小便器と大便器に分かれ、且つ小便器は大便器に比べあまりスペースを取りません。女性は個室のみとなる為男性トイレと比べて最大利用人数はどうしても少なくなってしまいます。その為女性のトイレスペースを広くして人数のバランスを取るものと考えられます。
簡易トイレの例を考えると男女のトイレはまったく同じ形なので、こちらは女性トイレの数を増やす事でバランスを取るものと考えられます。
- 女性スペースを多く取る
- 女性トイレの数を増やす
この2つで男女のバランスを取る訳です。
- トイレを分ける原因
しかし、上記の対応がとれるのはトイレスペースが十分にある場合のみであり、駅前のコーヒーショップのように十分に取れない場合は兼用とならざるを得ません。
雑居ビルにある小さな会社なども、給湯室同様トイレも共同で男女兼用の場合があります。あるいは階数によって男女トイレを分ける場合もありますが、こちらの場合会社が複数階に分かれている場合が多い為、トイレスペースが十分に取れている場合とも考えられます。
家庭でもトイレが一つしかない場合は当然兼用となります。複数のトイレがあっても男女別にしている家庭はほぼないでしょう。
こう考えてみると、
- トイレのスペースが取れない
- 使用する人が家族など近しい人
この場合はトイレは男女兼用になります。
- トイレスペースの広さ
- 使用する人
まずこの2つによって「男女別」か「男女兼用」かに分けられます。男女を分けるのが前提なのですが、これらによって兼用を認めざるをえないとも言えます。つまり、いくらトイレスペースを広くしようが使用するのが家族のみであればトイレは兼用となり、またトイレスペースが狭くとも使用する人が家族以外であれば出来るだけ分けるという事になるでしょう。
男女兼用になる事による性犯罪や盗撮の可能性が高まる事も考えられますが、目的が「トイレのみ」か「施設の一部か」という視点からみれば、広い公衆トイレが男女別である事と、狭い喫茶店のトイレが男女共用である事とを比較してみると、後者の方がその可能性は低いと考えます。トイレのすぐ前にカウンターがあるような店で性犯罪を起こす人はあまりいないと思います。このように考えると、
- トイレが施設の一部かどうか
という事が意味を持ってくると思います。トイレのみが目的なのか、それとも施設に付帯するものとしてトイレがあるか。
- トイレの広さ
テレビを見ていたら「トイレが広くてドアが遠いと不安」という意見が有りました(さまぁーず×さまぁーず 2013/05/05)。うなぎの寝床みたいなトイレだと、入っている最中にドアをノックされても応える事が出来ないので確かに不安です。飛行機のトイレのように「使用中」ランプでも付けたい所です。これは男女関係無しに共感できる所ではないでしょうか。
先に挙げたように、家のトイレは広かろうが狭かろうが複数あろうが男女兼用です。家内で男女分けている家も無くはないでしょうけど、凡そは兼用でしょう。同じ屋根の下に住む、近しい存在であれば兼用でもよくなる訳です。これが不特定多数になると別々になります。
ドアが遠くて不安になるのは、当然不特定多数が使用するトイレの方でしょう。つまり、広すぎるトイレはむしろ落ち着かず使いづらいと言えます。喫茶店のトイレが狭いのは、ある意味理にかなっているのかもしれません。
- トイレが施設の一部か、施設そのものか
公衆トイレはトイレそのものが施設です。喫茶店のトイレは、喫茶店そのものが施設でありトイレはその一部です。施設そのものであれば男女を分ける方向に働き、施設の一部であれば兼用でも受け入れられるという事が考えられます
- 文化の違い
ヨーロッパではトイレは男女兼用の場所が多く、女性は男性小便器の前を通って奥の個室に行くことになります。パーキングエリアの混雑したトイレでオバちゃんが入ってくるようなものですが、子供の時からそのような環境にいる為に男女どちらも恥ずかしいという事はないようです。
中国ではよく知られているように「ニーハオトイレ」ですし、文化の違いというのもトイレが兼用かどうかの大きな要因となるでしょう。
思いつくまま書いてみましたが、なかなか奥が深い気がしてきました。もう少し考えてみます。