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河底0メートル

いわれてみれば、たしかにきこえる

消費税の軽減税率は弁護士余り対策?

もうすぐ4月。消費税が8%にあがるというので、みんな買いまくっているようで、アスクルが明日来なくなったり、宅急便も時間通りに来なかったりと、前回消費税が上がった時にはネット通販なんてほとんど無かったでしょうし、これまで考えられなかったような業界まで影響が出ています。

 

とはいえ、消費税8%の次には10%が待ち構えるわけでして、早ければ来年10月にも導入されるというスピード感。「最初から10%にすればいいのに」と思うのですが、まあ決まってしまった事は仕方がないかと。

で、当然10%となると、税負担としては結構重いものになるわけで、今回8%に上がった場合、年収400〜500万の世帯で年間8万円の増税になるという試算が出ていました。8%で8万ですから10%になると結構な負担増です。

 

そこで、食料品などの生活必需品の消費税率を下げて、低所得者層の負担を軽減しようという案が去年の与党税制改正大綱で示されました。いわゆる消費税の軽減税率です。

ヨーロッパでは、EU加盟の条件として消費税にあたる付加価値税の導入が必須であり、それに伴い軽減税率も導入する事となっています。EUの付加価値税は15%以上とすると定められており日本よりも高い税率となっていますが、食料品等には軽減税率が適用される為、感覚的には物価は日本と変わらないとの事です。

 

生活必需品が安く買えるという事で一見良さそうな軽減税率ですが、実際の適用例を見ていくとそうとも言っていられない気がしてきます。

例えば、ドイツのファーストフード店では持ち帰りには軽減税率が適用されますが、店内で飲食する場合「贅沢な食事」という事で標準税率となります。まったく同じ商品でも持って帰るかその場で食べるかで税率が違うのです。

ちなみに「値段」ではなく「税率」が違うと書いたのは、多くの店がオペレーションを簡単にするために持ち帰りと店内飲食の値段を同じにしており、店が納税する際に標準税率と軽減税率で計算して支払う事となっています。当然、店としては持ち帰りにしてもらった方が支払う税金も減るので、購入する際に何も言わないと勝手に持ち帰りにされます。また、レジで店内飲食を持ち帰りだと打ち替える脱税行為もあとを絶たないようです。

 

更に厄介なのは、軽減税率の適用範囲です。例えば、マックのハッピーセットのようにおまけでおもちゃがついてくる場合、あまりにも豪華なおもちゃであれば、おもちゃが主であるとして標準税率を課される可能性があります。昔で言うとビッグワンガムあたりは適用範囲に入ってくるかもしれません。

とはいえ、じゃあおもちゃが豪華かどうかというのはどうやって判断するのか、という問題が出てきます。「豪華」というのは人によって見方が違う為、明確な線引きをするのが非常に難しいことであります。

マルセル・デュシャンの「泉」という作品なんて便器に名前を書いただけですが、名前を書く前は軽減税率だけども、名前を書いた後は芸術品だから標準税率になる、などという何だかコントみたいな事が起こりえるわけです。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f6/Duchamp_Fountaine.jpg/250px-Duchamp_Fountaine.jpg

 

明確な基準がないとはいえ無制限に税率を軽減するわけにはいかないので、何かしら線引が必要であり、海外では租税専門の機関や裁判所があるのでそこで判断される事が多いのですが、そのような機関を持たない日本では当然裁判所で争う事となるでしょう。そうすると、当然弁護士が必要になるわけですが、幸か不幸か弁護士が増えすぎてあぶれている現状では願ったり叶ったりというわけです。

 

というわけで何の脈絡もなく「新聞に軽減税率を!」と書いているマスコミは、「弁護士余りを解消させようとしている」とも取れるし、何か裏があるんじゃないかと勘ぐったりしている今日このごろです。