Suica転売とブラック企業
まとめ自体はそんなに長くないのにコメントが異常に伸びているわけですが、つけられたタグを見てもらうと判るように「コメント欄が本番」なんです。
で、見てもらえばわかるんですが「壊れたテープレコーダー」とされているコメント主の主張を眺めると、こんなところなんじゃないかと思われます。
- 価格は需要と供給で決まるので、転売で高くついた値段が適正な値段
- 転売を否定するなら八百屋も転売だからダメ
- 違法でなければ合法だからOK、嫌なら法律で禁止すればよい
- 転売屋も在庫を抱えて損するリスクを抱えており、おいしい思いだけするわけではない、だから批判するにはあたらない
- 文句をつけるべきは転売屋ではなく、価値に見合わない安い値段を付けすぎたJR
- 転売は販売チャネルの増加につながるから、ユーザーにとってはむしろ歓迎すべき
全然まとまってないですが、「需要と供給で決まった価格が真の価格であり、売り出し価格よりも転売屋が高値なのは元々の価格が安すぎる価格をつけたからであり、商売とはつまり安く物を買って高く物を売るという転売なのだから、転売屋は悪ではない」という論理なんだろうな、と思います。
つまり「価格が全て」であり、モノの価値は全て価格で決まるという考え方なんじゃないかと。
まあ、一義的にはそうなんでしょうけど、この「モノの価格が全て」という考え方を推し進めると、いわゆる「ブラック企業」の倫理になってくるような気がしてきます。転売とは逆に、より安い「デフレ価格」なんですが、こちらも「低価格なのが当然であり、今まで高かったのは元々の値段が高すぎていたわけであり、商売は安く物を買って多く売るという薄利多売なのだから、ブラック企業は悪ではない」と。
ちょっと無理やり合わせた感がありますが、とにかく「価格」にしか目がいっていない事は共通している。
ブラック企業の場合、見えないコスト、というか見て見ぬ振りした「人件費」というコストを圧迫する事で低価格を実現していたわけですが、その反動が今如実に現れる状態になっています。「モノの価格」に拘泥するあまり、それ以外のものをないがしろにしてしまったが故であるとも考えられます。
転売であろうと一時的には売り手と買い手が納得してWin-Winの関係になる場合もあります。そもそも個人オークションはそれが前提なので、一概に「転売行為は悪」とは言えないですが、商売として考えてると「継続企業の前提」に疑義が生じてしまいます。Suicaの例でいうと個人での「安定した仕入れ」というのはありえないからです。
オークション会社がなぜ成り立つかといえば、安定してオークションを開催できる商品を仕入れることができるからです。仕入れ続ける為にはそれなりの実績と信頼がなければなりません。単に列に並んで買えるものをオークションにかければ良いというものではないのです。
つまり、「転売は悪ではない」というのは「価格が全て」という前提があり、そこには「商売を継続させようとする努力」、また「顧客から信頼される実績」という見方が欠けているのではないでしょうか。
商売の基本は「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」が基本ですよ。