河底0メートル

いわれてみれば、たしかにきこえる

住み替える家17

売却も決まり、買付も終わり、あとは淡々と進めるだけ。

と思いきや、中古物件なのでまだやる事があります。リフォーム。

買った物件は築20年の事務所ビル。風呂は無くシャワーのみで、2階のトイレだけが異常に立派。1階と3階に小さいシンクが付いているだけのオフィス仕様。以前商売をやりながら住んでいた人もいたようですが、独身ならまだしも家族でシャワールームは厳しい。

 

また、リフォーム会社をハシゴです。最初に行ったのは部材に使う天然素材を売りにした会社。後でネットを見ると施工が雑など結構悪評が並んでいたのですが、設計ではそれほど悪い感じはしませんでした。

とはいえ、設計と施工が別会社なので実際リフォームする段階で設計のしわ寄せが来るのでは、という仮説が後で立ちました。新築とは違い、リフォームでは壁を剥がしてみないとわからない事が多く、全て当初設計通りに行く事はほぼ無いと考えてよいです。そうすると諦めて設計を変えるか、追加でお金をかけても設計に合わせるか、という判断が都度出てきます。

予算通り、また最初の設計通りに出来ると思っていた人に、現場で「設計変わります」「追加費用かかります」と言ったら揉めるに決まってます。

 

設計までは無料との事なので、とりあえずお願いする事にしました。これで1件目。

住み替える家16

買付の書類を書く為にターミナル駅近くの事務所にいたのですが、応接室の窓から見える大交差点を眺めながら、この街に住む事になるとは思わなかったな、と感慨に浸ってました。

 

その翌日、マンション売却でお世話になっているSさんから電話。会社から二駅で駅近の物件が出たのですが見てみませんか?との事。買付の書類を出した時にSさんにも見てもらった事もあり契約状況はご存知なので、それでも連絡があったという事は条件に合っているものだと思われます。

 

その街には会社の寮があって10年ほど住んでいたので雰囲気などは十分知っているところでした。見に行くと、住んでた寮の二つ手前の道を曲がったところ。寮よりも駅に近かったのですが、飲食店や接骨院がボチボチあるだけの通りなので、ほとんど通った事がなく、あまり印象になかった所。

とはいえ、「駅近、会社近、値段手頃」と条件にピッタリ、欲を言えばもうちょっと広い方が良いのですが、そこは妥協点。築20年なので境界線の問題で断念したビルよりも新しく、リフォームしても買付を入れた新築より安く済みそう、と選ばない理由がない。

あるとすると広さに加えて、以前住んでて個人的に新鮮味がない、再開発の醍醐味が直ぐにはない、とあるのですが、それは個人の感想レベルなので飲み込んで、内覧が終わった時にはもう今の買付をキャンセルして買うのを決めてました。

 

もしSさんからの連絡がもう少し後だったら契約が進んでキャンセルしていたでしょう。不動産は本当に巡り合わせだな、と感じる瞬間でした。

先に買付をいれた不動産担当者に連絡すると、競合者がいるからか引き止める事もなく「わかりました」とあっさり。もうちょっと何とかならないのか、とは思いましたが、後腐れなくキャンセルできたので良しとします。

住み替える家15

図面が出来たとの事で早速うかがうと、時間がないので所長自ら書いたとの事。見た感じ特に不可もなく、強いて言えば平凡すぎるくらいの見た目。そもそも中古住宅を買おうとしてるくらいなので、新築にもそんなにこだわりがなく、建ててくれればあとは何とかするよ、のスタンス。提案する方はやりづらいだろうなという感じですが、興味があるふりをしても仕方がないので、自然体。

とにかくだいたいの値段まで出してもらい、想定内くらいの値段だったので検討しますという形になりました。あとは土地を押さえれば決まりです。

すぐに不動産屋の担当者に連絡して買い付けを入れる事にしました。事務所まで行き、書類を書いていると、同じ土地を狙っている競合の方の存在を担当者がやたらと言ってくるので、値段は言い値で買うし最初に手を挙げたのはウチなのでそのあたりを考慮して欲しい、買うと言ったら買う、と大見得を切りました。まあ、すぐ後でキャンセルの連絡をする事になるのですが…

住み替える家14

リフォームして再度建て直すよりも、道路拡張を待って新築した方がコストが安いだろうという事で、住宅展示場で家を見てみる事に。

平日に行ったのですがガラガラで、新しい廃墟のよう。モデルルームは開いているのに、呼んでも誰も来ないとか、総合受付に訊いてもどこがやっているのか判らないとか、とにかくやる気がない。

そんな中、一つの工務店が対応してくれました。家の作りは動物との共生を考えてあり、犬猫に加えイグアナや亀がいるモデルルームで、社員はもっぱら飼育係との冗談も。

しかし、提案内容は要所要所でポイントを突くもので、むしろ不動産会社の担当者よりも詳しい。つい先日購入予定の木密地域の近くの建築も手掛けたとの事で、区の条例も引用しながら家の撤去が区の費用でできる事、道路拡張による建築制限の緩和など、次から次へとアドバイスが出てきて、完全に心を掴まれました。あとで「私何歳に見えますか」と聞かれたので30から40代かなというと、まさかの20代でした。出来上がりすぎ。

翌々日には間取り図を作ってくれるとの事で、とりあえずお願いする事にしました。ネットではあんまり評判が良くない工務店ですが、やっぱり営業によるなという事がよくわかりました。

住み替える家13

次に出てきたのは古屋有りの土地。今は路地の奥の狭い道の角に立ってますが、再開発が始まっており目の前にタワーマンションが建つ予定。路地も拡張されて広い道路になる予定、と将来性が高い立地でした。妻がネットで見つけてすぐに不動産会社に連絡したのですが、担当者が「まだ出してばっかりで資料が揃ってない」とか「他のお客さんからも問い合わせが凄くて手が回らない」とか、とにかく頼りない。買付の申し込みまでした後、最終的に見送るのですが、もし担当者が違う人だったら契約してただろうな、とは思います。

建物自体は古い2階建てで、そのまま住むには厳しいのでリフォーム必須ですが、前面道路が拡張されると容積率が上がって3階建てもいけるようになるとの事。もともと角地で前面が広がって幹線道路の一部となるので店にした場合も目立つし、これから発展するのが目に見えていました。

 

 

住み替える家12

いや、振り出しでもないか。駅近の古ビルがありました。もう買う気でSさんに連絡したのですが、ちょっと問題があるとの事。事前にローンも満額通っていたのですが、大手都市銀行の条件の一つに「境界を確定しておく事」との文言があったのですが、右隣との建物との境界が確定しておらず、更にはビルとビルの間に隣のテナントの看板が固定されており、測量が難しい事がわかりました。加えてビル間は分筆されていて昔何かしら争いがあった形跡かもしれず、ついでに隣のビルはテナントビルでオーナーもその場所に住んでる訳ではないとの事。ひと言でいうと「面倒くさい物件」でした。

 

万が一を考えて、境界が確定しなくてもローンが通る銀行を探してもらっていたのですが、応じたのはY銀行のみ。しかもゆうちょ銀行は窓口だけで実際に融資をするのは、今アパートローン不正融資で揺れるS銀行でした。満額でしたが、とにかく金利が高く、実質投機用のアパートローンと同じでした。

 

場所はいいし、広さもちょうどいい、地下室もあって騒音が出るような事も出来そう、と夢はありましたが、境界確定できないと夢のない金利が付いてきます。リフォームも含めるとその金利で無理ではないがかなり厳しい月額になるので、泣く泣く諦める事にしました。未だにそのビルを見ると、惜しかったな、という気持ちになります。

 

またネットで検索して、出てきたのがまたもや駅から1分の古いビル。広さは狭いものの都心3区の駅近では手頃すぎる値段。連絡するとやはり検討されている方はいます、との事。見に行って、ロケーションは抜群だが前面道路は私道で狭く、ビルも古くて風呂場は使ってなかったらしく真っ黒で印象は悪いものでした。敬遠する決定打となったのは、3階まで一直線に伸びる階段。角度も急で3階で子供が転んだら、1階の入口まで落ちてしまう。もう一つは、周りが飲み屋街なので夜遅くまでガヤガヤしており、教育にはあんまり良い環境ではなさそう、と妻。

夫婦二人ならこれ以上ない環境でしたが、こちらも諦める事にしました。やはり、すぐに買手がついて今は住居になっているようです。

住み替える家11

売却価格をキリがいい数字で押し戻して様子見していましたが、相手も頑として引かないとの事。これで決裂しても仕方ないかと思っていましたが、結論は意外なところにありました

こちらの言い値と相手の言い値の差額は仲介手数料から引くとの事。なるほど。

仲介手数料は上限額は法律で決まっているものの、下げる分については規定が無いので、下げられるわけです。もちろん不動産会社に取ってはその分取り分が減り、Sさんには申し訳ない感じにはなりましたが、ここは泣いてもらう事に。

というわけで、売却は決まりました。結果から言うと、最初につけてもらった相場価格の下限近くでした。買う側も当然相場価格を知っているので、欲張って高い値段をつけても成約するのは相場価格に近くなるものだな、とは思います。とはいえ購入価格からは高く、今自分がその価格で買うかと問われたら、笑顔で「買えません」というしかないです。

利幅はちょっとした宝くじに当たったようなものでしたが、次を買うという目的があるので自由に使えるわけではないのが実に惜しい。とはいえ、次の家の支払いまでには少し間があるので、半分投資信託に入れたら、タイミングが良かったのかちょっとだけ増えました。

 

さて、次の家です。ここで出てきたのが、最初に見た家でした。サイトをみるとまだ売却中とある。広さはまあまあ、値段もまあまあ、もともと営業中なので店舗としてすぐに使える、と場所以外は願ったりかなったり。

早速担当のSさんにあたってもらったところ、昨日売却が決まったとの事。不動産あるあるの一つ「全然動いてなかったのに、買い付けようと思ったら他の人が買ってた」を経験してしまいました。他の不動産あるあるはよく知りませんが、経験したくないものです。

 

というわけで、購入は振り出しに戻りました。いや、駅近のビルがあります。これを具体的にどうにかすれば、と思っていました。