河底0メートル

いわれてみれば、たしかにきこえる

住み替える家25

大体の打ち合わせが終わり工事に入ります。といっても、他の現場のスケジュールもあるので、すぐにという訳ではありません。

待っている間にも換気扇の位置や、部屋を仕切るカーテンの位置の微調整など細かい確認がありつつ、工事を迎えます。

 

工事するにあたってご近所回り。リフォーム会社に他の施主の例を訊きながら、現場監督と一緒に向こう三軒両隣に挨拶する事になりました。

強い拒否もなく終わってホッとしたのですが、一軒の家で色々ご近所情報を教えていただいた所があり参考になりました。

 

例えば関西のとある会社が建物を建てる際に挨拶周りをせずに工事を始めた所、少しでも路駐していると毎回警察に通報されて進捗が遅れてしまったという話を聞いて、「土地持つだけでこんなに面倒くさくなるのか」とちょっと暗澹たる気分。

十数年前にすぐ近所のマンションに住んでいた時はそんな事考えもしなかったのですが、ご近所さん曰く「下町だからしょうがないよね。そのかわり懐に入れば色々と便宜を図ってもらえる事もあるし」との事。

そんなわけで少し離れた町内会長のところを教えていただいて挨拶に行き、とりあえず仁義は通しておきました。

住み替える家25

2階は真ん中に階段があり、右奥に上がる階段があります。もともとは上がる階段の前にやたらと広くて豪華なトイレ室がありました。便器も高そうなものでそのまま使えそうでしたが、トイレが広い即ち部屋が狭くなる、という事で、トイレを壁際に寄せて普通の広さに変えます。

 

下がる階段前のクローゼットやその裏にあった左奥の部屋の押入れも全て取り払い、寝室を一つと将来的に壁を立てて部屋にできるようにした広い廊下というレイアウトにしました。

階段の横には小さなウォークインクローゼットとし、寝室にもカーテンで仕切れるようにカーテンレールをつけました。クローゼットとして壁を立てると寝室が狭くなってしまうのでカーテンで仕切るだけ。壁よりもカーテンの方が圧迫感がないので良かったです。

 

一階の店は基本的にDIYで、排水や電気コンセント、換気扇など自分では難しい所だけやってもらう形にしました。なので、壁は木がむき出しのままで引き渡してもらう事に。

 

外壁はもともとアイボリーのような色でそのままだとさすがにちょっと黒ずんでいる所もあったのですが、全面に足場を組むと結構な費用増になるとの事で、前面だけ同じような色で塗り直す事にしました。

 

打ち合わせは大体4回くらいで終わりました。私にあんまりこだわりがないのと、最初に理想的な暮らしというのを出しており、掛け離れたものが提案される事がほぼなかったので、回数は結構少ない方だと思います。

 

住み替える家24

ユニットバスの壁の色も色んなパターンがあるのですが、結局子供に決めてもらいました。シャワーヘッドは手元で操作できるものと悩みましたが、結局何でもない普通のもの。

キッチンだけは一つグレードの高いものに変えました。決め手はやはり見た目が標準よりも優れているのと、シンクのゴミ受けが使いやすそうな所。特にゴミ受けは毎日使うものなので、妥協して毎日イライラしたくないと。まあコストを考えるとゴミ受けだけ変えればいいという話ですが、コスパばかりで細部にこだわりすぎると、全体が合わなくなってかえって高くつく事もあるので…

個人的にはトイレも吟味したかったのですが、特約店契約で安くなるらしく、パナソニックのトイレになりました。本当はTOTOが良いと思ってたのですが、パナソニックも実際使うとこびり付きも少なく掃除の頻度も減ったので、それはそれでよかったと。

 

お風呂とキッチンが決まり、あとは各部屋のレイアウトを決めていきます。とはいえ狭小住宅なのでそれほどバリエーションがあるわけもなく、さらに一階は店舗、3階はLDKで、2階をどうするかという話です

住み替える家23

もう一つ気になっていたお風呂。ユニットバスのサイズが合えば問題ないとの事。今のマンションの風呂桶の大きさからは1ランク小さくなるのですが、仮住まいの狭い正方形の風呂と比較したら十分広い。

 

キッチンとユニットバスを決めるべく新宿のモデルルームへ。知らなかったのですが西新宿あたりは住宅用品のモデルルームがたくさんあり、回ってスタンプラリーみたいな事もできるみたいです。

モデルルームなので、当然最も見栄えする最上級グレードのものをズラズラ並べて高い方を買わせる、と思いきや、意外とそうでもなく、色んなグレードのものが分け隔てなく並べてあるので、むしろ悩んでしまいます。

例えば、シャワーヘッド。形や機能によって様々なのですが、並べ方は均一で案内の方も「好みでいいですよ」と高い方を押し付ける訳でもないので、むしろ「自分の好みは何なのか」という根源的な問いをされてしまう、という。

以前、モデルハウスを見に行った時に営業の方が言っていた「家作るとドアノブだったり窓枠だったり色々決める事がありすぎて『もう勝手に決めてくれよ』と言われます」と笑っていましたが、まさにその状態でした。

住み替える家22

リフォーム会社が決まったので、次は細部を詰めていきます。

 

家の形は長方形で、ちょっとしたウナギの寝床の3階建て。入り口からすぐ左に螺旋状に3階まで続いています。現状部屋は分かれているものの、スケルトンにするので外側だけ決まっている状態。例えると虎屋の羊羹の箱が3つ重なった形。

 

まず俎上に上がったのは3階リビングのキッチン。当初のプランでは窓に沿ってキッチンが並び、反対側がベンチになっていたのですが、料理している後ろを行き来するのは邪魔かもしれない、と考えて、L型キッチンにして奥に寄せ、対面にする事にしました。冷蔵庫を置くと通路が狭くなりますが、結果的には思ったほど狭くならずに良かったと思います。

デメリットとしてはエアコンの風がシンクに遮られて奥まで届きにくいという事でしょうか。キッチンの反対側はベランダを拡張して大きな窓にした為、その上にエアコンがつけられず、やむなくキッチン側の壁についているのですが、火を使うのでキッチンはそんなに寒くなく、逆にリビングは寒くなりがちなので、今の時期はエアコンの位置はちょっと失敗だったかなーと思います。

住み替える家21

現地調査結果を踏まえての設計図が出揃いました

 

・1社目の自然派リフォーム会社

ある意味正統派というか、普通にやったらそうなるかな、と予想していた感じでした。寝室を一段上げて下を収納にしていたのが印象的。リビングは2階で、風呂は3階。1階の店は広くなりますが、その分居住スペースは狭くなってしまうので、要望とはちょっと違ってしまいました。

 

・2社目のオシャレリフォーム会社

斬新の一言。2階の床ブチ抜いてきました。オシャレ。 お店としてはインパクト大である意味正解だと思うのですが、床を抜いているので当然居住スペースは狭くなります。かつ一階の出入口が開けっ放しだと虫が入りそう、二階の話し声が筒抜けで落ち着かない、などという奥さんの感想もあり見送り。独身や夫婦二人だけでお店に全力投球するなら相当迷ったと思います。ちなみにミニチュア模型を作ってくれたのはこの会社だけでした。あの模型、欲しかったな…。

 

・3社目の狭小住宅得意な会社

要望していた風呂一階、ベランダ拡張の提案、将来に向けて部屋を分けれるような設計など、狭小住宅を得意にしているだけに色々とノウハウが詰め込んでありました。他の会社が2階をリビングにしているのに対し、3階をリビングにして拡張したベランダに続くようになっている。今実際住んでみると2階は薄暗いですが、3階は眩しいくらい明るいので正解だったなと思います。

 

というわけで、3社目に決定。

 

住み替える家20

この時コラージュで書いた暮らしは、今となってはだいぶ違っているとは思います。しかしそれでも生活の輪郭のようなものをハッキリさせた事で、メリハリがなくなりがちな日々の暮らしを、少しだけでも理想に近づけようと考えるきっかけになりました。

「住まいを替える」という事は、「暮らしを替える」という事でもあります。賃借期限とか転勤とか漫然と引越しするのではなく、自分たちで決めて住み替えるという選択は、考えてみれば初めての事でした。その意思の部分を端的に表したのがコラージュだと考えると、あの時期はこんな暮らしを考えていたのかというメルクマールとなっています。

 

理想的な暮らしについてのコラージュを完成させてメールで送りました。現地調査の結果もお風呂一階、ベランダ拡張は可能との事なので、ここでほぼ決めていましたが、他の会社の結果も確認してから返事する事に。